「オーダーメイド内視鏡検査」は患者さんの年齢や全身状態を考慮した上で、希望に沿って、患者さん一人一人に合った方法で行う内視鏡検査です。ただでさえ苦痛を伴う内視鏡検査をより精度を上げて少しでも楽に、そして少しでも満足が得られるように検査を行います。
患者さんによっては口から胃カメラをしても嘔吐反射も少なくほとんど苦しくなかったという方もいますし、逆に鼻からの内視鏡の方が痛くて苦しかったという方もいます。
また、人によっては嘔吐反射が強くげっぷも多く出て苦しい上に、検査自体も精度の高い検査ができない方もいます。大腸カメラにおいても胃カメラより苦しかったと言う人もいれば、全然楽だったと言う方もいます。
その他にも、検査自体は楽でも下剤を飲むのが辛くて検査を受けたくなかったり、高齢者では自宅で下剤を飲むのが不安であったりと内視鏡検査においては患者さん一人一人がいろいろな異なった悩みを抱えています。これらの悩みを解決するのが当院の「オーダーメイド内視鏡」です。
当院では鎮静下(眠っての)
内視鏡検査を行っております。
【検査の目的と方法】
●当院では内視鏡検査を行う際に、希望者は鎮静剤 ( 眠らせる薬 ) を使用して検査を行うことが可能です。
※持病やアレルギーによっては鎮静剤を使用できない方もいます。
●鎮静剤を使用することで、検査の際に緊張を和らげ、軽く眠った状態となり比較的楽に検査を受けられます。
●鎮静剤は点滴ルートを確保して血管内からお薬を投与します。通常は投与後数分で眠くなってきますが鎮静剤を使用しても人によっては 眠れなかったり、途中で目が覚める場合もあります。特にアルコールを多く飲む方や睡眠薬を服用している方は鎮静剤の効きが悪い方が多いです。
●お薬を投与しても眠くならない場合や途中で目が覚めたりした場合は追加でお薬を投与しますが投与量が増えると下記の副作用のリスク も上がるため一定量を超える投与は危険であり最終的には眠らないまま検査を終了する場合もあります。
【鎮静剤使用による偶発症 ( 危険性 ) と副作用】
●鎮静剤使用による偶発症 ( 危険性 ) としては点滴ルートを確保する際に生じる点滴部位の炎症、静脈炎、血管痛、神経損傷があります。鎮静剤自体の副作用としてはアレルギー症状、アナフィラキシーショック、血圧低下、不整脈、呼吸抑制、低酸素血症、呼吸停止、健忘 ( 検査前後の記憶の喪失 ) 等があり、ごく稀に生命に関わる重篤な転帰をきたす可能性があります。
●偶発症が発生した際は、必要に応じて総合病院に紹介の上、入院治療が必要になることもあります。
【鎮静剤使用による注意】
●鎮静剤を使用した場合は目が覚めた後も薬の影響が残ることもあり回復室で 120 分程度点滴を行い、十分
に休んでから帰宅していただきます。
鎮静剤を使用される方は帰りの運転に支障を来す恐れがあるため車やバイクでの来院はできません。
当院内視鏡室の天井にスピーカーが設置されておりますので、当院のシステムを使ってお好きな音楽 ( 一部アーティストを除く ) を聴きながら内視鏡検査を受けられます。特にご希望がない場合はオルゴール等のリラックスできる音楽を流します。
患者さんによっては胃カメラの際に施行医が見ているモニターを見る余裕がある方がいますが、見ようとするとどうしても顎が上がり、ほっぺが浮いた状態となります。この状態ですと、口の中の液体を誤嚥してむせやすくなり検査に支障をきたす場合があります。また、大腸検査の際は支障をきたさなくても見にくい体勢で何とか頑張ってみようとしている方もいます。当院では内視鏡施行医のモニター ( 内視鏡の画面 ) とは別に、患者さん専用のモニターを用意しています。キャスターが付いており自由に動かすことができ高さの調節も可能です。希望者はモニターを見ながら検査を行うことができ、特に余裕のある大腸カメラでは実際に大腸の中の状況を説明しながら、興味がある方はポリープを切除する場面もご覧いただけます。
高齢の方で自宅での前処置 ( 腸管洗浄剤の内服 ) 中に具合が悪くなったらどうしようと不安に思う方や、若い方でも遠方より車で来院中にコンビニに何度も駆け寄り大変な思いをした方もいらっしゃると思います。当院では希望者はトイレが目の前にある半個室のお部屋でゆっくりとリラックスしてテレビを見ながら前処置を行えます。終わった後も十分に休んでから帰宅できます。
定期的に胃カメラと大腸カメラを受けている方や、検診で胃と大腸の両方を同時に要精査になった方で、できれば 1 日で両方の検査を行いたいという方がいます。当院では事前に予約をして頂ければ、朝 9 時より処置を進めて、夕方には検査を終える事ができますので、1 日で胃カメラと大腸カメラ両方の検査を行うことが可能です。※土曜日は行っておりません。
腸管洗浄剤は液体ではなく錠剤がよい!
当院では液体の腸管洗浄剤の他、ビジクリアという錠剤の腸管洗浄剤 ( 高齢者や腎臓の悪い方は選択できません ) をご用意しております。ビジクリアはやや薬が大きく、錠数も 50 錠と多いですが、飲む液体 (2L) 水またはお茶でよいため、他の液体の腸管洗浄剤 を飲むのが苦手な方はおすすめです。その他、液体の腸管洗浄剤も人により好き嫌いが異なるため、「モビプレップ」「ニフレック」「マグコロール P」の 3 種類をご用意しており、自分に合った腸管洗浄剤を選択できます。
できれば腸管洗浄剤は飲みたくない!
大腸カメラの検査自体は苦しくなくて受けるのは良いが前処置の腸管洗浄剤を飲むのが大変で検査を受けたくないと言う方がいます。そういう方には同日に胃カメラを受けていただくことが前提にはなりますが、朝から胃カメラを受けていただき、その際に液体の腸管洗浄剤を内視鏡から十二指腸に流すことで、腸管洗浄剤を自分で飲まずに腸管内に入れることが可能となります。胃カメラ終了後は排便を繰り返していただき、腸管内をきれいした後、大腸カメラを受けることが可能です。